ケガを防ぐ跳び方(垂直跳び)
今回はジャンプについて書いてみます。
ジャンプは華やかで作品の見せ場でもありますね。ジャンプと言えばグランジュッテ・グランパディシャ、スーブルソー、カプリオール、ザンレール、アントルシャカトル~アントルシャシスなどいろいろな種類のジャンプがありますが、基本となる垂直跳びについて書こうと思います。
ジャンプをする時に最初と最後にすることは何でしょう?
そう、”プリエ”です。このプリエこそがジャンプの決め手なのです。
目的は、高さを得るためとケガを防ぐための2点。
最初のプリエは跳んだ時の高さを決めます。床を蹴るのは足首の底屈(つま先を床方向に向ける力)ですが、それだけでは十分な高さを得ることはできません。
そこに垂直方向に向けて跳び立つ加速度を加えるためにプリエが必須なんです。できれば股関節の位置を高く保ち膝の裏をつま先方向に緩めていくような柔らかいプリエをしたい!!バランスボールの上に座るようなふわっと弾むようなプリエが理想です。
クワド(大腿四頭筋肉)を使ったプリエ→膝のお皿をつま先の方に押し出すようなプリエは✖。なぜなら床を蹴る前にブレーキがかかってしまうからです。ふわっとしたプリエをした後、殿筋とハムストリングスで股関節と膝が伸長され、足首の底屈(つま先を伸ばす力)で床を蹴り返すことにより空中に跳び立てるわけです。
アントルシャシスやザンレールなどは高さがないとできない技ですね。プリエの速度によって瞬発的に跳ぶもの、滞空時間で見せるものなどのジャンプの質が変わります。
ポンポンポンポン細かく跳ぶシャンジュマンやアントルシャかトルなどと、一発でポンと高く跳ぶザンレールのためのプリエは質が違いますね。
プリエはあくまでも上方(頭の上の空間)に向かう加速度を加えるためなので、腰を落として床に近づく作業ではなく、プリエが上質のスプリングであってほしいのです(上方に向かうための上体を引き上げたプリエ)。
さてこのようにプリエで加速度を加えたら空中に跳び立ち、滞空時間を経て着地となるわけです。ここで膝や足首のケガが発生する率が高いです。
落下速度が加わって体重の何倍もの力が足にかかってしまうからです。
間違ってターンアウトが失われた場合、例えばつま先はアンドゥオールしているのに股関節の外旋(アンドゥオール)が保たれず、膝が内側にが入ってしまった場合に起こる靭帯損傷など大きなケガが発生します。
原因は・・・アンドゥオールがいかなる場合でも保たれるような訓練ができていない、深部感覚の不一致(脳からの命令と実際行われている行動の誤差)も理由の一つではありますが、大きな原因は落下速度の減速ができていないこと!!
着地するときのスピードをコントロールできていない(プリエをするまで上体の引き上げを維持できていない)ために、ボールを床にたたきつけてしまうような力が足にかかって行くことになってしまうのです。
減速の方法は空中に跳びあがった時の浮遊感(引き上げ)を保ったまま着地すること!!
どんなに速い連続跳びでもふわっと着地!!なぜなら着地のプリエが次に跳び立つための準備のプリエだからです。
自分の体重を空中に放り投げ、それを受け止めるその一連の動作が足のみで行われるのは大変危険です。上体を高く維持し足の負担を最低限にすることがダンサー生命を左右するのかもしれません。膝はそんなに頑丈ではありませんよ。
衝撃が加われば加わるほど摩耗していくし、靭帯・軟骨・半月板にかかる負担も大きくなります。
ジャンプの着地の減速=上体の引き上げと”ふわっと着地”
特に大人バレエの皆さんは膝の軟骨損傷・半月板損傷(加齢に伴い)などもともともと問題を抱えている方も多いので、足首の柔軟性(アキレス腱やふくらはぎ、МP関節<指の付け根の関節>)やハムストリングス(太ももの裏の筋肉)の柔軟性を出しておくのも重要な課題です。
空中で体がぶれないためには体幹もある程度しっかりしていないとだめですね。着地の時にバランスを崩し、”ふわっと着地”が難しくなります。
ジャンプは楽しいですが、正しく行わなければ危険性大。
さあ、今日も”ふわっと着地”でレッスンを楽しみましょう!!
感覚的にわからない方は、ガラスの床の上でジャンプをするイメージでね。
トランポリンの上でジャンプもいいかも?
皆様、膝をお大事に・・・。
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