大人バレエ指導のポイント

大人になってバレエを始めた方が子供のころからバレエを習っていた方と大きく違う点について研究していました。

40歳を過ぎたころから筋力の低下や背骨の椎間板の状態などにより猫背の姿勢になりやすく、そこに合わせて膝をやや曲げることにより姿勢的なバランスを保つようになり、結果骨盤が後傾気味になるということ・・・(重心も踵よりになります)

そして50歳くらいからは足首の柔軟性がなくなり、特に背屈(フレックス)がしづらくなるようです。もちろん底屈(つま先を伸ばすように甲を出すこと)も硬くなるとのこと。

底背屈の時に働く筋肉も弱くなるので、ルルベが高く上がらなかったり、足首がぐらついたりします。

確かにわたくしのクラスでも出尻の方はごくわずかで、骨盤後傾気味の方が多いです。

そこで若い生徒と同じやり方では無理があると考え、アライメント(姿勢)を整える時には骨盤を立てるようにしていかないと(前傾方向に)股関節の動きが出ないことに気づきました。*アンドゥオールにしているので出尻にはなりません。

「お尻を閉めて」という指示は✖。なおさら骨盤後傾になり踵に重心が落ち、股関節が機能しなくなるのでプリエの動きを膝のみで行うようになり、股関節がたためないため、ルティレ(パッセ)も上がらなくなり、股関節に乗り込んでしまうため引き上げが不十分になります。

長くバレエを続けている方は別として、40代以降からバレエを始めた方がポワントを履くのも要注意!!

足首の底背屈が十分にできるようなストレッチ、底背屈に必要な筋肉を鍛えていかなければ安全なポワントワークはできません。

捻挫、後脛骨筋痛・腓骨筋痛・足底腱膜炎・アキレス腱炎などの危険が待っています。

足首の硬さはプリエにも影響します。柔らかいドゥミプリエができなければピルエットもジャンプも難しくなります。

若い方と同じレッスンメニューでは不十分と考え、足首の柔軟性を出すストレッチ、甲だしストレッチ、骨盤の動きを出すメニューや股関節周りを緩めるストレッチ、体幹を維持する筋トレなどをレッスンプログラムに加えています。

年齢とともに自然に筋肉が落ちて行くといわれていますが(60歳では年間5%減)、そのタイミングでバレエを習うことは、ロコモティブシンドロームやサルコペニア肥満予防にも大いに役立ちます。

バレエは楽しく体を動かし、柔軟性や筋力維持ができるのですから40代以降の方にも是非お勧めしたい習い事です。

ただし、教師側は年齢的な体の変化に応じた指導の仕方をしていかなければ上達をさせられないばかりか、けがをさせてしまうこともあるのです。

若い生徒と同じように足を高く上げさせたり、グランジャンプを高く飛ぶよう指示するのは無理がありますね。

でも、アレグロはお勧めです。遅筋より速筋の衰えが目立ってくるのでアレグロのような動きに挑戦するのは良いトレーニングになるでしょう。(脳トレにもなりますね)

ピルエットの回転数を上げる、ジャンプを高く飛ぶといったことよりも、アダジオで重心移動の練習をしたり、アレグロで速筋を鍛えるようなメニューを多くするほうが安全で意味のある事なのかもしれないと思ってレッスンプログラムを組んでいます。

オープンクラスなどで若い方・大人から始めた方が混じっているクラスは大変ですね・・・。

生徒さんのほうでご自分の体力や筋力・柔軟性を考えて気を付けながらレッスンされることをお勧めします。

アンチエイジングの意味でもバレエで楽しく体づくりをしていきましょう!!




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