動きのリズムを感じて

バレエは美しい音楽とともに体を動かしています。

その美しい音楽は聞いているだけでもうっとり。

小さいころからピアノと声楽を学んでいた私にとってはショパンやチャイコフスキーの音楽を聴いているだけでも幸せ。

創作の作品を創る時も音楽ありきで、気に入った音が見つかると振り付けは天から降ってくるという方式。振り付けの神様が降りてくると、わ~っと振りが湧いてくるというくらい音楽が大切なものだと感じています。

美しい音楽に合わせて踊るのがバレエ。

いえいえ、音楽は感じるもの。音楽を一回自分の中に取り込んで、体を楽器に見立てて体で奏でるのがバレエ。

さて、今度は動きのリズムの話です。

私が今回自分のバレエリハビリで困ったのがアレグロの動きです。

腰の神経からの痛みや痺れはなくなり、膝にも水が溜まらなくなり、治療をしてくださっている先生にもジャンプをしていいですよ!と言って頂いたものの怖くてできない(涙)

痛いのではなく、怖い、そして分からない。←この分からないの意味が分からないでしょう?

前に簡単にできていた小さいジャンプがどうやったらできるのか?が分からなくなっちゃうんです。ジャンプの着地の時に「痛いかも?痛いかも?」と言う感じになって、体が上がってこない・・・「どうなっちゃってるんだろう私」が正直な気持ち。

「痛くなくなったんだからできるでしょ?筋力が戻ってきたからやれるでしょ?」

今回自分がこのような経験をしなければ、けがした生徒にそう言ってしまったかもしれません。

困って困ってトレーナーの松崎先生に相談しました。答えは「縄跳び跳ぶみたいにして軽く跳んでみたらどうですか?」と言うお言葉。

これが私のなぜ??に大ヒットしてしまったのです。

私がクラスでいつも言っている動きのリズム。要するに動きのリズムを忘れちゃっていたのです。

オノマトペ大好きな私がレッスンの中で、タタッ、タタッ、タタッとか、タタン、タタン、タタン、トトトトトッとか言っているリズム。

1番ソッテで、ぴょん、ぴょん、ぴょん、ぴょんと飛んでるうちに連続跳びのリズムが感じられるようになりました。足の裏で床を蹴り返す感じ「あ~跳ぶってこういうことだった」とワクワクしてきました。

それをタタッ、タタッ、タタッに変えたらパディシャが出来ました。

ッタタン、ッタタン、ッタタンに変えたらシソンヌフェルメになりました。

シュッぴょん、シュッぴょんに変えたらアッサンブレが出来ました。

なんだ!!いつも生徒の皆さんに伝えている「自分の中に持つべき動きのリズム」を忘れてしまっていたんだ…と言うことに気が付いて。

松崎先生ありがとう!!

バレエは自分の中の動きのリズムと音楽があった時に本当に美しく踊れるのだ・・と私は思っているのですけれど、その大事な動きのリズムはケガをして痛くないようにかばって動く中で、いつしか下へ下へ向かうリズムに変わっていってしまうんだということに気づきました。

痛みを取ったり、炎症を沈めたり、筋力アップをしてくださるのは、ドクターや治療家、トレーナーの先生方のお仕事ですが、バレエの現場への復帰は教師の元でのレッスンになるのでこれは難しい作業です。

アレグロ(速い動き)は動きのリズムを思い出させることであり、アダージオ(ゆっくりした動き)は筋肉の協調性を高め、引き上げを強化し、重心の移動をしっかりすること。

バレエリハビリは、けがをした部分に負担をかけないように使い方を見直すことや、再発防止のために悪い使い方の癖を取ることも大事ですが、忘れてしまっている感覚を思い出させてあげることが一番重要かもしれません。たぶん思い出させてあげるだけで自然に「できるかも?」と言う気持になって体が動いてくると思うのです。

それがバレエ現場での教師の仕事なのではないでしょうか?

今までできていたことが出来なくなる失望感は経験した人にしかわかりません。

でもケガをする前にはできていたのだから忘れちゃっているだけなんですよね。

バレエの動きをどうやって思い出させてあげられるか・・・まだまだ研究は続きます。

ケガも自己責任、復帰も自己責任の世界。

治療法を選択するのも自己責任、バレエリハビリも自己責任では復帰を諦めてしまう人がいても無理もないことですが、「また踊れる日」を信じてバレエ復帰してほしいと心から願います。

身体の感覚は人それぞれなのでその人が感じることが大事。その感覚を思い出させる作業こそバレエ復帰の重要ポイントなのかもしれません。


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