ドゥミプリエの役割

ドゥミプリエはバレエを踊るうえではなくてはならないものであることは皆さんお分かりだと思います。

ジャンプの初めや着地、回転の初めや終わり、アレグロのつなぎなど、踊っているうちに何回ドゥミプリエをするでしょう。

そんなドゥミプリエにも質の違いがあるのはご存知ですか?

踊り慣れている人は経験的にやっていることですが、大人リーナさんのために解説したいと思います。

♦ジャンプのためのドゥミプリエ

ジャンプと言っても種類がありますね。その場で連続跳びをする場合、グランジャンプをする場合など・・・

バーレッスンの時に「ドゥミプリエは柔らかく」とか「出来るだけ深いドゥミプリエをしましょう」と教えられた経験があると思いますが、ジャンプの時はそれが良いとばかりは言えません。

バーレッスンのドゥミプリエはウォーミングアップなので太ももや膝下の筋肉やアキレス腱を柔軟にする目的があるので「深く」「柔らかく」と言う使い方をしています。これは踊れる体を作るために大事なことですが実際に踊りになった場合はちょっと違ってきます。

アレグロの最後にアッサンブレがきた場合など、振り付けの最後にプリエで終わる場合は比較的深く柔らかいエネルギーを吸収するようなプリエをします。しかし連続跳びの場合は違ってきます。着地したエネルギーを吸収しすぎてしまうと次に跳び上がるパワーがなくなってしまうので、少し浅めの張りのあるプリエになります。いわゆる弾力性のある浅いプリエと言うことになってきます。着地したエネルギーを膝を少し緩めて張ったプリエで受け止め、緩めたハムストリングやお尻の筋肉を収縮させると同時に、足首の底屈を使って縦方向に床を蹴り返すことで跳び上がるパワーに換えて行きます。この場合に大事なのはターンアウトしたプリエであることです。膝を張ったプリエであれば腰が落ちることはありませんが、内旋したプリエはしゃがみこんでしまい腰が落ちるので、ジャンプの時に体が前後にプレてしまい床を蹴り返すことが難しくなります。

少し浅くて張りのあるプリエと聞くとプリエで動きを止めようとしてしまうかもしれませんが浅くても膝は緩めています。(このとき前もも主導のドゥミプリエをしている人はプリエが浅く動きが止まってしまいます)

プリエはムーブメント!!ポーズではないので動きの中で膝の動きを止めると役に立たなくなってしまいます。動き続ける中に膝の屈伸があると思っていないと膝を壊してしまいますので要注意。(上体の引き上げがポイントです)

ジャンプはグランジャンプであってもプリエで腰が落ちては高さが出ないので蹴るためのプリエです。

♦回転の時のドゥミプリエ

4番からのピルエットアンディオールシングルは比較的深めのプリエを要求されることが多いですが、同じ音のサイズの中にダブル・トリプルを入れるとなった場合は加速度が必要になってきます。そこで速くて短いテンポの体を上方にあげるためのプリエになります。同じ音のサイズの中で回転数を上げるのですからのんびりプリエをしていたら当然シングルしか入りませんね。

アンデダンはやり方が2通り。クロワゼ4番で前足に体重を乗せた深いプリエの構えから始まるものと、ピケでアンデダンに入るものがあります。パのつなぎの中でピケアンデダンに入る場合は体重を移動するためのドゥミプリエなので立つためのバネになるようなプリエです。このときプリエが深すぎると軸足に乗りすぎて体重移動がスムーズに行えないので張りのある浅めのプリエになります。

シャッセからシェネに入る場合、アンディオール、アチチュードターンの入りも当然立ち上がるための張りのある浅いプリエです。

♦ドゥミプリエのもう一つの役割

ヴァリエーションの最後に連続回転をして、5番からポーズに入るということが良くあります。回転の終わりに5番ドゥミプリエになってシャッセしてポーズに入る時の5番ドゥミプリエは、回転してきた勢いを消すブレーキの役目を果たします。そこで仕切り直してシャッセからポーズ、またはアラベスクやアチチュードに入ったりします。

回転力を消さないままポーズに入ってよろっとしてしまった経験はありませんか?

体を立て直すときにもドゥミプリエが有効です。

ピケマネージュの時などもプリエが踏めなくなってきてうまく体重移動ができないと軸に立ち切れず失敗してしまうこともあります。

踊の中で使うドゥミプリエは、ジャンプの着地で落下してきた力を吸収する・ジャンプからの着地の力を瞬時に利用して跳ね返す・回転のスピードを上げる・回転力を止めるなどのいろいろな役割があるのです。

動きの中でどんなドゥミプリエが要求されているかを知ると先生の指示「もっとプリエを深く」「プリエでしゃがみこまないで」「膝を張ったプリエをして」などの意味が理解できるかもしれませんね。

ドゥミプリエの質がパフォーマンス向上のカギかもしれません。

もう一度あなたのドゥミプリエを見直してみてはいかがですか?





0コメント

  • 1000 / 1000