グランプリエは慎重に

今日は大人バレエのプリエについて書いてみようと思います。

バーレッスンの初めに必ず行うプリエ。ドゥミプリエとグランプリエがありますが、膝の屈伸により大腿部の筋肉をストレッチし、血流を上げていくために大変重要なメニューです。

さて、ドゥミプリエの練習はどんな時に生かされるでしょう?

ターンの前のプレパレーションやジャンプの前後など、ドゥミプリエなしに踊ることはできませんね。バレエはプリエに始まりプリエに終わると言われるほど大切なムーブメントです。

では、グランプリエは何の時に役に立つのでしょう?

女性のバリエーションなどではグランプリエを見たことがありませんね。

と言うことは・・・バーでのグランプリエはトレーニングの1つとして行われているのではないでしょうか?

上体を引き上げていなければ深い屈伸はできませんから、引き上げ強化も目的の1つでしょう。深く屈伸すると大腿部や膝下の筋肉も十分にストレッチされて踊る準備ができます。大腿部の筋力強化も目的の1つです。もちろん血流も上がるので大事なメニューなのですが、ちょっとだけ危険が潜んでいるのです。

私が指導する大人バレエクラスではやりたい人だけグランプリエをしてもらっています。

(グランプリエしないなんてありえない!!当然やるべきでしょう、と言う人の意見も間違いではないので)

膝や腰、股関節に不安を抱える人はグランプリエは控えています。

そして、4番・5番のグランプリエは全員やらなくて良しとしています。

なぜなら、体の下で2本の脚をターンアウトし前後に重ねてクロスするだけでかなり股関節や膝に負担がかかるポジションだからです。特に4番は前後に足を一足分開いているので、お尻がしっかり前後の真ん中に乗っていなければいけません。しかも脚をしっかりターンアウトした状態でクロスしなければならないと言うかなり不自然な状態なのです。

股関節の条件が良くても難しいわけですが、股関節が硬い人が行うとグランプリエをするにしたがって後ろ脚の膝が内旋してきたり、開こうとするあまり踵を前に送り出したり、骨盤をずらして捻じれたプリエになったり、引き上げが持続できずに両足を均等に曲げていくことが出来ないため後ろ脚に座り込むような姿勢になったりする危険があるのです。

膝は曲げると膝下をわずかに外旋させることができるので、捻じれが大きくなると膝には相当大きな負担がかかってきます。

1番と2番はそれほど不安定にはならないのでやっても良いと思いますが、4番・5番は慎重に行いましょう。

股関節に負担がかからない4番は3番から脚を一足分離した位置、5番を3番にするだけでも

股関節の負担は軽減します。

私のクラスではバーレッスンのドゥミプリエは3番からの4番、5番は拇趾(親指)の付け根まで重ねることを勧めています。(3番はさすがに軸が取りづらいので)

ただし、踊るときは話は別ですね。3番に近い5番や3番から前後に開いた4番は爪先が中心から離れていくので、軸が取りにくくなります。

4番、5番のクロスの重要性を感じるターンの回り始めのプレパレーションやエシャッペやアッサンブレなどで自分の体の真下に足を集める作業、ジャンプの着地などはしっかりクロスしていないとバランスが中心に集まりづらくなります。(そこのところはバーで股関節の柔軟性をしっかり出した後、センターでのプリエの仕方としてクロスしたプリエを指導します)

理想としてはしっかりクロスした4番・5番ですが、股関節の柔軟性がない状態では危険なので、まずは3番から前後に開いた4番、拇趾の付け根までクロスした5番から徐々にドゥミプリエをしていって、股関節、膝関節、足首の関節の柔軟性や連動性を高めて行くことをお勧めします。

40代~70代の方はグランプリエする際はより慎重に。

自ら膝の軟骨や半月板、靭帯を損傷するようなプリエを行っては踊れる期間を短くしているようなものです。プリエはポーズではなくムーブメントです。

しっかり自分の体重を支えたり受け止めたりするためにも踊りに生かせる柔軟なドゥミプリエができるようすることの方が重要です。楽しく長く踊り続けるためにも股関節や膝の負担を軽減しながらレッスンして行きましょう!!

(グランプリエをしないなんてありえない!!とお考えの方もおられると思いますが、異端児バレエ教師相澤の考えとして書かせていただいています)





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