肋骨を閉じてと言う指示は
良くバレエの先生が「肋骨を閉じて」と言う指示を出します。
出尻、鳩胸で胸を開いてしまう人に対する指示だと思います。
肋骨を閉じてアライメントを整えるのは意外に簡単な方法ですが、私には不安要素があるのです。
・呼吸はできますか?
・カンブレはできますか?
・アラベスクは上がりますか?
・腹直筋を使い過ぎていませんか?
・アームスは自由に動かせていますか?
・首は自由に動かせますか?
私が胸を開いている生徒を指導するときに見る場所は骨盤の角度です。仙骨の角度は重要です。胸を開く人は肋骨が開くばかりではなく腰椎の前湾も強い場合が多いです。
まず股関節での外旋を十分にさせてバレエのポジションに立たせます。
バレエをする人は一般の人より脊柱の生理湾曲が浅くなりますので、足元から頭までのアライメントを見ていくと肋骨を開いている人は仙骨も前に傾いて(腰椎の前湾も強くなって)いることが多いです。
股関節の前側もしっかり伸びていない状態で肋骨だけに指示を出しても無理やりみぞおちに力を入れて閉じ込めるだけで根本的には解決しないのです。
まずは足の3点(親指と小指の付け根とかかと)で立ち、股関節前側を平らに保つことで開いていた肋骨は自然に閉じるはずです。
後ろカンブレ(肩甲骨周辺からの後屈)をする場合は骨盤と肋骨の間を長く保つことで腹筋を正しく働かせ、息を吸いながら肋骨を持ち上げてそります。このとき肩甲骨は脊柱に向けて下方、内側に滑らせるようにします。
このように肋骨を開くようなことを行うこともありますから「閉じて」と言う表現には疑問を持ってしまう訳です。
アラベスクも肋骨を閉じたままでは難しくなります。足を高く上げるためには骨盤を前傾していかなければなりませんが胸椎から上は上方に保たなければならないのでみぞおちを閉じてしまうと足を上げることができないのです。
バーレッスンのアライメントで開いている肋骨を閉じる=センターで使える体ではないということも考えられます。
そもそも骨盤自体が常に同じ状態ではなく、踊りながら変わっていくものなんです。
足を前にあげるときは後傾、後ろに足を上げるときは前傾と言ったように、体重移動やポーズによって変わるムーブメントですから、バーレッスンで見た目だけの閉じ込めたポジションに当てはめるのは危険です。
足の裏でしっかり平らに床を踏み、その力がお腹に伝わるには股関節が折れないこと!!
股関節で折れたり、または股関節前側を押し出したりと言ったことがなければ土台は完成です。
股関節前側の「パンツの線を平らに」です。
そこに上体が乗り、さらに上方に伸びていく感じ・・・
決して固めるのではありません。
肩甲骨が下制されていれば肩に無駄な力が入ることなくアームスも大きく自由に動かすことができるはずです。
そして最も大事なのが呼吸。みぞおちを唯々固めていると呼吸はできませんね。
ハアハアとみぞおちが大きく動く呼吸はNGですが、肋骨を少し自由にしておかないと踊っていて酸欠になってしまうのです。
下腹部が動かないよう引き上げたまま横隔膜を意識して呼吸をしていく練習をしましょう。
このように「肋骨」は閉じっぱなしにはできないわけですから、体全体に目を向けてアライメントを整えることが重要です。
出尻さんはそっと仙骨(骨盤の後ろ中央)に手のひらを添えてみましょう。けして下に引き下げないように(引き下げるとタックインになるので注意)。
腹筋に反応があったらそこが正しい骨盤の角度です。
<バレエの先生におかれましてはメソッドの違いにより異論を持たれることもあると思いますが、相澤メソッドとして書いております。>
指導者としてどのように指示を出していくかが難しいところです。
踊れるように導くのも教師ですが、間違った指示で踊れなくしてしまうこともあるのです。
動きを引き出す言葉をかけていきたい・・・
今日は肋骨の話でした。
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