年齢による体の変化

今日はシニアバレエの方向けのお話です。

「いくつになっても筋肉さえ鍛えていれば若い人と同じ状態を保つことができるんですか?」

と言う質問を受けました。

それは希望であって現実にはそういう訳には行きません。

40歳以上でバレエを始められる方も多くなり、80歳までバレエをやっている方もいるそうですが、筋肉さえ鍛えていれば80歳でも3回転回れたり、グランジュッテを軽々跳べたり、ポワントでバリエーションを踊ったりできると思いますか?

今から書くことに少し失望するかもしれませんが、知っておいた方が良いことなので書いてみます。

まず、40歳を過ぎると筋肉や骨の量が少しづつ減り始めます。筋肉量も減るだけではなく筋肉の質が変わってしまい筋肉の中に霜降り状に脂肪が蓄積することもあります。「筋肉脂肪」これが運動機能を低下させることもあると言うのです。

逆には筋肉脂肪が蓄積しないためには適度な運動をしている必要があるとも言えます。

筋肉の量が減ると筋肉の中に蓄えられる水分量も減り老廃物を流せなくなったりと言うマイナス点も出てきます。水分ばかりでなく関節の潤滑液も減少し関節へのダメージも大きくなってきます。

ですから子供から30歳代までの方とは体の状態が変わってくるということを承知してバレエのレッスンに取り組んでいただきたいのです。

「できそうな気がすること」であっても、必要な訓練を重ねてから行わないと大けがにつながることも・・・

特に指導者側としても大人バレエの方のプログラムは慎重に考えていく必要があると感じています。

大人バレエの方は、見た目にボリュームがある筋肉だとしても若い人のように弾力性のある強い筋肉とは限らないので、筋肉で受け止められない体重は関節にどんどんダメージを与えて行きます。

引き上げを強くして膝や足首への負担を減らしていかなければ膝関節症を悪化させたり、足首痛、股関節痛や腰痛を招くことも考えられます。

少ない筋肉量で難しいテクニックをこなすと転倒のリスクも高まります。

関節の動きをよくすること、筋力をつけることを重要視し、踊れる体を準備しながら安全に踊れるよう指導をしなければいけません。

生徒さんは年齢が上がっても、いくつになっても気持ちが若いので「こんなことは簡単にできるわ」と思いますが、まずは体の声を聞きましょう。

「出来ると思っていること」と「できること」にギャップがないかどうか・・・

バレエを上手に楽しむコツは踊れる体を準備するところから。

いくつになっても大好きなバレエを続けたい方は、体の変化を知って対策を考えて行きましょう!!

指導者の先生方にも加齢に伴う体の変化を知って頂き、安全に大人バレエの指導をして頂きたいと願っています。


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