アンドゥオールの指標
バレエ=アンドゥオール(ターンアウト)
バレエを習ったことがない人は、180度足(脚)が開かなければバレエはできないと考えていることが多いのではないでしょうか?
美しさ、動きの解剖の点でも足を外向きにさせるメリットは多く、臀筋を使って足を外向きにすることでバランスを中心に集める働きや、前後左右に素早くステップを踏むため、ステップの動きを大きく見せるため、脚のラインを美しく見せるため、何より足を横に上げたとき(外転)大転子と骨盤がぶつからないようにし、股関節の可動域を広げるため、骨盤と大腿部をよい意味でロックするため(軸足の股関節がグラグラしないよう)にどうしても必要で足(脚)を外向きにする必要があるバレエ。
では、だれでも180度に開くのでしょうか?
開く人と開かない人の違いはなんでしょうか?
1、股関節のヒップソケット(骨盤側の大腿骨がはまっている穴)の向き
2、大腿骨の上部(股関節にはまっている部分)の形状→骨の長さや曲がっている部分の角度、くぼみ方の条件
3、大腿骨の捻じれ→パラレルで立って膝のお皿がもともと少し外を向いている人と、ひざのお皿が内側に向いている人
4、足首の柔軟性
5、お尻の筋肉(深部外旋筋、大臀筋下部)、外旋にに関わる大腿部の筋肉(内転筋・大腿直筋・縫工筋)の弱さ
6、骨盤周りの筋肉や大腿部の内旋筋(半腱様筋・半膜様筋)の柔軟性不足
などがあげられます。
5、6は努力で改善を見込めるので、是非努力していただきたいですが、1~4は生まれ持った骨格によるところなので、なかなか改善を見込むのは難しいというのが正直なところです。
さて、生まれ持った骨格が外旋しづらい場合バレエが出来ないのか?と言う問題です。
プロバレリーナになるのであれば180度外旋を望まれても仕方ありません。海外のトップバレリーナと並ぶことを考えると、西洋的なバレエ向きの身体を持つ人と一緒に踊るとなれば当然美しさの面から言っても望まれることだと思います。
しかし、大人バレエの皆さんは180度アンドゥオール出来なくても踊ることは可能です。
そもそも、人間の股関節の可動域は0~45度なので、両足で90度開けば十分。それに加えて、もともとヒップソケットの向きが外付きで、大腿骨の形状からも股関節の可動域が広く、大腿骨がそもそも外に向いている、下腿(膝下)もやや外向きであれば、膝や足首をそんなに捻らなくても180度に近づくのかもしれません。
では、股関節で90度外旋できたとしても、膝が少し内向いている場合や足首の柔軟性が少ない場合はどうでしょう。
膝や足首を必要以上にひねらなければ理想の状態にはなりません。
開かないからとお尻に力を入れてタックイン(骨盤後傾)にして股関節周りを固めている人はさらに開かなくなっている場合も少なくありませんね。(腰椎の負担も大きく、股関節に痛みが出る場合も多い)
私はもともと骨格の条件に恵まれておらず、昔は開け開けと言われずいぶん苦労しました。
股関節は熱を持って腫れ、パキーンパキーンと教室中に響くような音が鳴ったり、無理に開こうとするあまり臀筋に力が入り腰に負担がかかったり、今年画像で発見されたのですが左ひざの軟骨損傷(膝がもともと左だけ内側に向いているため)になっていたり。
身体の条件を超えた外旋は取り返しのつかないケガにつながります。
大人バレエで心がけてほしいのは、個々の体に合ったアンドゥオール(ターンアウト)をバーの時もセンターで踊る時も常に維持し続けることと、股関節内で大腿骨を回すために必要な空間をつくるために上体の引き上げを十分にすることです。
この2つを身に着けるのは簡単なことではありませんが、180度に無理やり開こうとする努力でケガを招くことに対して、常にアンドゥオールし上体を引き上げる努力はケガを防ぐ効果があります。
関節に大きな負担をかけ、ケガをしてしまうと日常生活にも支障をきたします。
努力の方向性を見極めて、楽しく健康に、バレエを長く続けてほしいと願います。
動きの中でアンディオールしつづけること=機能的で美しい
自分の身体の条件を嘆くのではなく、持っている条件をフルにうまく使いこなすこと!!
身体が少しづつ変わっていくプロセスを楽しみながら踊りましょう!
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