情報を選ぶ能力

近年バレエトレーナーさんやバレエのための体づくりの講座や教室をされている先生が多くなり、上達の近道が増えてきました。

昔はお稽古だけやってればいいのよ、できないのは稽古が足りないから・・と言う感じでしたよね。

「脚を上げてキープできません」と言えば「足の付け根をしっかり縮めてないからよ」

とか

「ジャンプを高く飛べません」と言えば「床を蹴っていないからでしょ」

とかそんな答えしか得られませんでした。

たぶん感が良い人はできたのでしょうけれど、体幹の筋力だとかタイミングやリズムを使って動くとか、力が向かう方向なんて全く頭になかった時代でした。

今はトレーニング方法も公開されたり、本やDVD、ネットなどでも情報を得られるし、勉強しようと思えばできる時代です。

でも、本当に自分に必要な情報をセレクト出来ているでしょうか?

例えばアラベスクが上がりませんと言う人はどうしたらよいのでしょう?

まずは背筋を鍛えますか?バーに足をかけてガンガンストレッチをしますか?

背中が板のようになっている人が背筋を鍛えても背中がもっと固くなって足が上がりづらくなります。足の付け根が柔らかくなっても背筋力がなければ足を高く上げていることができません。

アラベスクを上げるには胸椎の柔軟性も必要ですが、背中が硬くて動かないという人も多いですよね。その場合は胸椎の柔軟性を出す必要があります。

骨盤を前傾する(前に倒す)ことにより胸椎が動きやすくなって足も上げやすくなり、背筋の筋力も発揮できるといったように使い方を考えれば足が上がる場合もあるんです。

我々バレエ教師はその人の何が問題で、何をするべきかを瞬時に把握できないと的確なアドバイスができないのです。

ただただ鍛えなさい、柔軟性が足りないからストレッチしなさいではダメなんです。

筋力をつけても出力の問題で力を発揮させられていない場合もあるし、力が向かう方向性が間違っている場合もあるのです。

本やDVDなどで勉強できる時代だからこそ本当に自分に必要な情報かどうかを判断する力が必要です。鵜呑みにすると上達の近道ではなく遠回りになる場合も・・・

ストレッチの情報を鵜吞みにして股関節や内転筋を傷めてしまった人も何人か見てきましたが、その人に合っていない方法でケガしてしまう場合も少なくありません。

筋力が足りないと思い込み筋トレをし続けた結果、体が重くなり回転やジャンプがやりづらくなったりもするのです。

まじめな人こそ危険!!思い込んだらまっしぐらはだめですよ。

必要以外の筋肉はつけないこと!特にアウターマッスルを鍛えすぎると体のラインが崩れます。体が重くなり不自由になります。

柔軟性ばかり高めようとすると関節はどんどん不安定になり関節のケガが増えます。

筋力と柔軟性のバランス、筋力の発揮の仕方、力を発揮する方向性などのバランスが重要なんです。

情報が多い分、自分に合った情報を選ぶ能力も必要です。

バレエを始めたばかりの人は特に本を買って勉強しようと思うことが多いので、すべてを真に受けてしまいがち・・骨格や顔つきがみんな違うのと一緒で上達のために必要なことも全員違うのです。

いつの世もバレエはやっぱり簡単じゃないですね。

選択肢が増えた分、教師が生徒に何を選択してやらせていくかと言う力も問われます。

ジャイロキネシス、ピラティス、バーオーソル、パーソナルトレーニング、コーディネーショントレーニング、ヨガなど、バレエのパフォーマンス向上のために有効なものをうまく取り入れて行ける時代ですから、上手に選択してバレエに生かして行けたら良い結果が生まれるでしょう。

今あなたに求められるのは自分に合った情報をセレクトする能力なのかもしれません。



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