歯とバレエの話

タイトルを見て何?と思われた方もいると思いますが、今日は歯がバレエに及ぼす影響について考えてみたいと思います。

私は31歳の時に踊っている最中にピケアチチュード(軸足ポワント)の軸足が滑って転倒して右肘下を骨折しました。骨折は手術を受けて治りましたが、手を強く突き上げたことや後ろアチチュードで捻ったまま転倒したこともあり、不整脈、腹痛、首から肩にかけての痛み、腰痛、特に右肩甲骨周りの動きの悪さなどの体調不良が残りました。

ある時知り合いのバレエの先生に勧められて整体治療院に行き、いろいろ治療をする中で噛み合わせの悪さも問題であると指摘され35歳で咬合治療を始めました。

先天的に反対咬合であることや発育段階での問題、それまでの歯科治療による問題も含めて噛み合わせに問題があったことも体が自由に動かなかった原因であることが分かりました。

上顎の先天的な変異や左の顎の軟骨が減ってしまっていること、左右の下顎の骨の長さがわずかに違うことなど先天的と後天的な問題が多かったので治療には時間がかかって現在も治療中です。

その間に頭蓋骨矯正の先生から教えて頂いたこと、整体師さんから教えて頂いたこと、歯医者さんから教えて頂いたことに加え、顎関節症による咬合不良によって体にどんな影響があるかを身をもって経験し、バレエに拘わらず人の体と言うものに深く興味を持ちました。

バレエが上手にならない、バランスがうまく取れない、体がどうやっても柔らかくならない、体に力が入らないなどの問題が、バレエの練習不足や運動神経がないからではなく、歯に原因があることもあるのです。

左右どちらかの奥歯を抜歯したままになっているとか、歯医者さんで治療したときの詰め物がわずかに高いとか、詰め物が削れたり取れたりしてかみ合わせが低くなっているとか、抜歯矯正で上下の歯の接触面の高さに不具合があるとか、そのような原因でも体のバランスに影響が出ます。

奥歯や小臼歯の接触具合は大事です。奥歯が左右均等に噛めないと運動時に体に力が入らなくなります。不安定な噛み合わせにより頸椎の動きが悪くなったり、頭が傾いてしまったり、噛み合わせが高いと頸椎はストレートに近くなり、噛み合わせが低いと首の湾曲が強くなり肩や首がこったり動きが悪くなることもあります。

頸椎の状態は腰椎にも影響します。出尻・タックインなど、体全体のアライメントが崩れてしまうことも少なくない現実です。

スポーツ選手が力を発揮するときに奥歯を咬みしめることにより歯が減ってしまうという話は聞いたことがあると思います。

歯科治療で噛み合わせの調整をしたり、ナイトガード(寝るときにつけるマウスピース)を用いて噛みしめを防いだり、プレイするときにマウスピースを付けていることもあるようです。

顎の関節は体の中で唯一左右同時に動く関節なので、その動きのバランスが崩れた時に頭が傾き、重い頭を支えるために体をゆがめると言う悪循環になってしまうのです。

生徒でも歯科で矯正をしている人がいます。矯正をすると歯の位置が変わったり、上下の接触状況が変わるので体のバランスも変化します。

首や肩の緊張が強くなったり、転びやすくなったり、股関節の動きが悪くなったりすることもありますので、バレエ指導の現場でも歯科矯正をしている人には注意を払います。

自分が持っている本来のバランスのつもりで難しい技をした時に転倒すると言ったこともあり得るからです。

片方の歯でばかり食べ物を噛んでいる、歯ぎしりをする、歯科治療をした後から体調が良くない、何をやっても体が解れないと言った方は歯の問題が潜んでいるかもしれません。

歯の治療が体に影響を及ぼすという観点から噛み合わせの治療をしている歯科医はまだまだ少ないので、噛み合わせの治療は慎重にしていかないと逆に体にダメージが残ることも考えられます。

治療をお考えの方は良く調べて歯医者さんを選んでください。

コンクールや発表会を控えて歯の矯正を始めるのもお勧めしません。

無意識のうちに体のバランスが変わるので体の感覚がついていかなくなる場合もあります。

ご自身が抱える歯の問題や、歯科治療がバレエに影響を及ぼすことがあるかもしれないと言うことをお伝えしました。

緊張から来る噛みしめも体の筋肉の緊張を招くので、踊る時は食いしばってはいけませんよ。

ジャンプの前やターンの前は瞬間的に噛みしめて力を発揮しますがそれは自然現象です。

噛みしめ続けると体の力を緩めることが出来なくなるので、気合を入れて力づくで踊っている人は噛みしめ注意です。

特に頑張り屋さんは気を付けて・・・

ご参考になればと思います。



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